空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
自宅に戻ってからすぐにベッドに横になった。

たっくんの顔をまともに見られなかった。

ここで私がたっくんを拒んだらたっくんはどうなってしまうのだろう。

――好きな人がいるの...。

そう素直に言うべきだったのかな?

でも私は言えなかった。

たっくんを傷つけたくない、たっくんに自分と同じ思いをしてほしくないって思ってしまったから。

同じ日に産まれたのに

お兄ちゃんだからと我慢してきて

弟の面倒も見て、

勉強も人一倍頑張ってテストはいつもどの教科も90点ばかりで、

優しく見守ってくれるような素敵な人だから、

私は安易に傷つけられないんだ。

だけど嘘をつくことも悪いのは分かってる。

私は...颯翔くんが好き。

颯翔くんが私のことを何とも思っていなくても私は好きなんだ。

どうして噛み合わないんだろう。

どうしてすれ違うんだろう。

どうしてこうなってしまったんだろう。

巡り会えた奇跡の中で運命の人を見つける道のりはなんでこんなに困難ばかりなんだろう。

恋愛って、

どうして、

こんなに

痛いんだろう。

辛いんだろう。

苦しいんだろう。

切ないんだろう。

空しいんだろう。

なんだか、ますます具合悪くなりそうだよ。

私は枕に顔を押し付けて頭を抱えながら泣いた。

誰も傷付けたくない。

自分も傷付きたくない。

でもそれは無理なことで、

無理だと分かってももがけないから、

ただ泣くしかなかった。

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