空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
私は3人の間を抜け、袋を持ったまま全力で廊下をかけた。

どこに行くとかどこに行くべきとか分からないけどとりあえず走った。

走っていれば忘れられると思った。

全部振り払えると思った。

階段をかけ登り、屋上への扉に手をかける。

ドアノブを回し、開いた扉の先にはこの心に似つかわない青空が広がっていた。

雲が流れ、大きな魚が泳ぎ、その後方に白くて真っ直ぐな線が伸びる。

立ち止まり、空をじっと見つめているとふいに左目から一筋の涙が耳に流れた。

深呼吸をして心を落ち着けようとしても出来ない。

なんで泣いてるのか分からない。

失恋より辛いことなんてないと思っていた。

誰かを想い、誰かに想われる。

その誰かが一致しないと複雑に糸が絡まり、がんじからめにされるんだ。

どうしたらいいか分からない。

分からないけど、考えるしかない。

このどうしようもない感情を、このどうしようもない脳ミソで整理するしかないんだ。


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