空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
それからというもの、私は夏帆ちゃんとお昼ご飯を食べない時は屋上に赴くようになった。

颯翔くんはシャイだけど私や樹くんが話しかけるとちゃんと答えてくれるし、たまに見せてくれる笑顔が可愛い。


「碧萌ちゃん聞いてよ~。今日の実験でさ、マッチ付ける係りになったんだよね。でも一発でつけられなくて何本か無駄にしたら女子に笑われるは、先生からはしかられるはで大変だったんだよ~」

「あははは。なんか樹くんらしいね」

「樹は昔からマッチするのが苦手でいつもオレ頼みだった」

「お前は出来がいいんだから頼らせてくれよ~。これからもよろしくな、さっやと~」

「キモい。ベタベタするな」


なんだかんだ言ってるけど仲良しなんだよね、この2人。

私は自分で作ってきた結構香ばしめの卵焼きを食べながら疑問を口にした。


「そう言えば2人は幼なじみなんだよね?幼少期はどんな感じだったの?」


その質問に答えたのはやはり樹くんだった。


「おれも颯翔もあんま変わらねえな。昔からおれは明るくて皆の人気者。こいつはオレの影に隠れてこそこそしてはいたけど見た目が見た目だから目立っちゃってな。それを良く思わないやつに苛められたりしてたな」


いじめか。

私はデブで地味だったからいじめられたのも分かるけど、容姿端麗でもいじめられることってあるんだ。

結局カーストの最上位にいる人が自分の気に食わない人をいじめるんだ。

颯翔くんは寡黙で大人しくしてるのに、カッコ良くてモテるから妬まれてたんだろうな。

そんなことで人の心も体も傷つけるなんて最低だ。

人は愚かだって改めて思う。


「だけどな、それをおれとそらが助けてたわけだ。勇敢なおれらはガキ大将に立ち向かっていって、一喝。颯翔を妬むくらいなら生まれ変わってカッコ良く産まれてこいっ!それが出来ないならせめてその汚い心を磨けっ!ってな」

「ちょっと待って。そらって誰?」


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