空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
私は屋上を去り、トイレの一番奥の部屋に駆け込み、その場にしゃがみこんだ。

ハンカチで必死に口元を押さえて滝のように溢れる涙も止めようと努力した。

だけど、ダメだった。

心を抑えることなんて、気持ちを鎮めることなんて出来なかった。

樹くんが青空ちゃんのためを思ってしたことも理解出来る。

友達が楽しんでいる姿を見て安心したかったんだって思う。

何かに縛られるのもつらいから解放してあげたかったんだって分かる。

だけど、私の気持ちはないがしろにされてるよね?

私は確かに友達になりたかった。

でもその先を望んで必死に毎日毎日手紙を書いて自分を伝え続けた。

一目惚れしたから。

好きだから。

好きで好きで好きが溢れていたから。

だから、伝えたかった。

そして知りたかった。

颯翔くんのことを...知りたかったんだ。

そんな私の気持ちはこれからどうなるの?

どうすればいいの?

封じ込めろって言うの?

そんなこと...出来ないよ。

もう、出来ないんだよ。

出会ったあの日から、私の中で始まってしまったから。

やはり恋は......辛い。

甘くて苦くて切ない。

< 67 / 112 >

この作品をシェア

pagetop