空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「碧萌ちゃん、ごめんね」

「何が?」

「わたしが碧萌ちゃんから海くんを奪わなければこんなことにならなかったのに」


なんで...。

なんで今さらそんなこと言うの?

左手を強く強く握る。

爪が皮膚に食い込んでなま暖かくべたつきを感じる。


「それ、誰から聞いたの?」


自分の声とは思えないほど冷めきった声。


「誰からも聞いてないよ。わたし自身が感じたの。碧萌ちゃんは海くんが好きだって。だけど碧萌ちゃんはわたしを応援してくれた。だからいいのかなって思ったけど、良くないよね。2人は幼なじみで長い時間大切な時を過ごして来たのに。それなのにわたしなんかが邪魔して...。本当にごめん...」


私は立ち止まった。

そして呟いた。


「大丈夫。私気にしてないから。もう好きじゃないから」


半分本当で半分嘘。

本音なんて言えない。

分かれ道まで数十メートル。

それまでは我慢しよう。

私が夏帆ちゃんを助けたんだ。

自業自得なんだ。

夏帆ちゃんに負い目を感じさせてどうするんだ。

悪いのは私。

私だけで十分だ。

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