空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
彼女達に連れて来られたのは屋上だった。

生憎今日は誰もいない。

こういう時にこそいてほしいものだが、私のヒーローはいない。

せめてぼろぼろになって立ち上がれそうになくなった時にでも来てほしい。


「あんたに聞きたいことはただひとつ。颯翔くんとはどういう関係?」


ボスだと思われる一番体格のいい女が話し出す。


「私はただ...ただ一方的に颯翔くんが好きなだけです。友達でもカノジョでもありません」

「よくそんな見え透いた嘘がつけるわね。あんたがここに頻繁に来てるのは皆目撃してるのよ。それにラブレターまで下駄箱に仕込んじゃって。一体何の気してるのかしら?」

「さっきも言ったように私は友達でもカノジョでもなく......そう、ストーカーです!熱心なストーカーで、ここに呼び出されてたのは...その...注意されていたからで...」


私がそういうと、2人が私の腕を掴み、地面に投げつけた。

いたっ...。

手に擦り傷が出来てじんじんと痛む。


「嘘ばっかつくんじゃないわよ!なんであんたみたいなやつが颯翔くんと仲良くしてるの?意味分かんない!」


今度はお腹に蹴りを何発も入れられる。

呼吸のリズムが乱れ、痛いというより苦しい。


「ゲホッゲホッ...」

「可哀想に。助けにも来てもらえないなんてね。ははははっ!」

「抵抗してもいいんだよ。あんた1人でなんも出来ないと思うけど!」

「あはははっ!」

「あ~はっはっは!あ~はっはっは!」


こんな人たちに負けたくない。

私は顔を上げて女たちに向かって叫んだ。


「颯翔くんを好きになる資格...あんたたちにはないっ!」


ボスの女が目をかっと見開き、拳を振り上げた。

私は咄嗟に目を閉じた。

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