空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
頑張って全力疾走してくれたお陰で人気がある人気の絶景スポットのあたりまで来て私は下ろされた。


「はあ...はあ...」

「颯翔くんごめんね。大丈夫?」

「オレは...大丈夫。瀬生さんは怪我ない?何もされてない?」

「うん、大丈夫」

「なら良かった...」

「うんうん、マジで良かった」


ほとんど何もしていないけど、樹くんも安堵の表情を見せる。


「それより何で2人がここに?」


素朴な疑問を口にすると、サッカー部で鍛えられ体力がまだ有り余っている樹くんが意気揚々と答えた。


「オレたちは花火目当てに来たわけじゃなくて勉強の息抜きで単に海に遊びに来たんだけど、そしたら花火大会ってなってて。で、仕方なく散策してたら女子高生2人組がちんぴらに連れていかれるのを見かけて助けたんだ。で、その帰りに碧萌ちゃんが襲われそうになったのを発見して駆け付けたってわけ」

「そうだったんだ...。本当にありがとう。私2人がいなかったらどうなってたことか...」

「おれは別に戦力外だから礼はいらないよ。颯翔に言ってくれ。それにしても颯翔の空手が活かされる時が来て良かったなぁ!はっはっは!」


なんでこんな時に笑えるのか私には理解不能なのだが、笑っていられるならいっかと思った。

笑ってないと気持ちを切り替えられなくなるからね。

確かにいつまでも気落ちしている場合ではない。


「あっ、そうだ。おれ喉乾いたから自販機で何か買ってくるよ。颯翔はどうせお茶だろ?」

「あぁ」


水とかお茶しか飲まない主義の人たまにいるよね。

私もどちらかというとそっちタイプ。

たまに味つきの甘いジュースじゃないと損だっていう人もいるけど、それは個人の自由でいいんじゃないのかと思う。


「碧萌ちゃんは?」

「私、一緒に行くよ。そんな疲れてないし」

「いいのいいの、気にしないで。何がいいのか教えて」

「じゃ、私もお茶で...」

「畏まり~。じゃ、おれ、ひとっ走りしてくるわ」


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