上司は優しい幼なじみ
「気を付けるんだぞ?」

まるで子供を諭す親のようだ。
また子供扱いして…と、ムッと頬を膨らませたが、たっくんはそれが面白いのかワシャワシャと頭を撫でた。

せっかく綺麗にセットした髪が…!!

「さ、行こう」

再び手を引かれ、人波に埋もれていくのだった。




中華街を離れ、日も暮れたころ、みなとみらいまでやって来た。

デートの定番、ザ・夜景を楽しめるそのスポットは、多くのカップルで賑わっていた。

私たちは肩を並べ、その夜景を堪能する。
特に、みなとみらいの大観覧車はドラマの撮影スポットでも映し出されていたのを何度か見かけている。
だいたいそれは恋愛もので、大観覧車をバックに告白したり、一波乱巻き起こしたりしてくれる。

はたまた観覧車の中で、意中の相手と二人きりになり、誰にも邪魔されない、逃げられない密室空間で1シーン撮れる。

きっと今この瞬間にも、大輪に実る、個室と言う名の恋の芽がいくつも花を咲かせようとしているのだろう。

静かに佇む隣の彼に視線を移す。

たっくんも、過去に女性と来た事あるのかな…

「…どした?」

視線に気づいたのか、ゆっくりと顔を向ける。
夜景のライトがバックに、彼の端正な顔立ちがより煌びやかに見えた。
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