上司は優しい幼なじみ
「この話を蹴ってフリースタイルに留まれば、陽菜の傍にいれる。でも、昔から提案していた企画が実現しようとしていて、どうしても諦めることはできなかった」
知っている。たっくんがどれだけ仕事を大切にしてきたかということくらい。
痛いぐらい知っているよ。
「陽菜を向こうに連れていくことも考えたんだ。でもそれは、陽菜に今の商品企画部の仕事を辞めさせることになる。俺の私情で向こうに席を用意することもできなかったから。それでずっと悩んでいて」
「たっくん…」
彼の未来に、しっかり私が存在していた。
その事実が明白になったことだけで、十分嬉しかった。
「全部俺の我儘で、結果的に陽菜を悲しませることになって…それは不本意だった。だから、もし離れている間に、陽菜が将来を共にしたいと思う相手が現れたら、その人と一緒になる方が陽菜にとって幸せなのかもしれないって考えたもの事実で。でも…それも違うんだよな」
大きくて温かい手が私の頭を包む。
シートベルトを外し、運転席から身を乗り出して私を優しく抱きしめた。
「陽菜…結婚しよう」
耳元で小さくつぶやく。だけどはっきりと聞こえた。
その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
そして徐々に体が熱くなっていく。
「俺が戻ってきたら、結婚してほしい。それまで、待っていてくれないか?」
そんなの…断る理由がないよ。
「…はい」
涙をこらえ、精一杯の笑顔を向ける。
そんな私を見つめる彼の目は、慈しみに満ち溢れていた。
知っている。たっくんがどれだけ仕事を大切にしてきたかということくらい。
痛いぐらい知っているよ。
「陽菜を向こうに連れていくことも考えたんだ。でもそれは、陽菜に今の商品企画部の仕事を辞めさせることになる。俺の私情で向こうに席を用意することもできなかったから。それでずっと悩んでいて」
「たっくん…」
彼の未来に、しっかり私が存在していた。
その事実が明白になったことだけで、十分嬉しかった。
「全部俺の我儘で、結果的に陽菜を悲しませることになって…それは不本意だった。だから、もし離れている間に、陽菜が将来を共にしたいと思う相手が現れたら、その人と一緒になる方が陽菜にとって幸せなのかもしれないって考えたもの事実で。でも…それも違うんだよな」
大きくて温かい手が私の頭を包む。
シートベルトを外し、運転席から身を乗り出して私を優しく抱きしめた。
「陽菜…結婚しよう」
耳元で小さくつぶやく。だけどはっきりと聞こえた。
その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
そして徐々に体が熱くなっていく。
「俺が戻ってきたら、結婚してほしい。それまで、待っていてくれないか?」
そんなの…断る理由がないよ。
「…はい」
涙をこらえ、精一杯の笑顔を向ける。
そんな私を見つめる彼の目は、慈しみに満ち溢れていた。