上司は優しい幼なじみ
定時のチャイムが鳴り、ぞろぞろと人が動き出す。
華金だからか、皆いつもより清々しい顔をしている。
もう一息頑張れば業務の区切りがつくため、フロアを出ていく人々を横目に見ながら私は画面と向き合う。
「陽菜ちゃん、今日一緒に飲まない?」
そう声かけてきた真奈美ちゃんの隣には、帰り支度を整えた半田さんが立っていた。
「あー、ちょっとこれ今日中に終わらせたくて。それに、お邪魔するのも悪いし」
「そっかぁ。じゃあまた今度飲もう?」
「うん。ありがとうね」
二人は肩を並べ、背中を向けて姿を消した。
いいなぁ…
今まで当たり前にできたことが、海を越えた距離になるとそれも難しくなる。
改めて遠距離恋愛の大変さを思い知った。
ぐっと伸びをし、少し眠気が出てきた自分に喝を入れようと立ち上がる。
目的はカフェイン、向かう先は給湯室。
「あ、これは最後の一杯…いや、一杯もないな」
さすがにこの時間になるとコーヒーの補充はされておらず、空になっていることもほとんど。
でも今はどうしても眠気を覚ましたく、少し勿体ないとは思いながらも約一杯分のコーヒーを新しくドリップした。