上司は優しい幼なじみ
このシチュエーションに既視感を覚える。
そうだ…私の入社初日のあの時も、確か給湯室で…

「2年以上経ったし、もう忘れちゃったかな?」

こうして、私がコーヒーを溢したところに彼はやってきて。


…名刺を、差し出したんだ。



株式会社フリースタイル
商品企画部 部長
大川 拓海


「ぶぶぶぶぶぶ部長!!??」

「相変わらずいいリアクション見せるね、陽菜は」

まず、たっくんがここにいるのが信じられない。
だって、帰ってくるなんて連絡一切なかったし…
辞令だって出ていない。
それに、部長?部長って…あの、日高部長のポジションの、あの部長?

震える手で名刺を握りしめ、その意味を必死に理解しようとする。

ちょっと待って、たっくんは異動して’Y.O.S’の社員だったはず。
でもここには、何度目をこすって見直しても’株式会社フリースタイル’と書いてある。

「え…どういうこと?全然わからない…」

たっくんは面白そうに私を見た後、散らかしてしまったところを手際よく片付け、手を取り立たせた。

「向こうでも採用していて、現地の人とかあっちに住む日本人が何人か入社したんだ。それも同業界で結構実績残してきたエリートが集まってさ。向こうでの事業も落ち着いたし、こっちは日高部長が抜けたって聞いて、俺が戻ってくることになったんだ」

言っている意味を必死に理解しようとするも、元々鈍い私の脳みそだ。
なかなか追いつかない。
< 262 / 275 >

この作品をシェア

pagetop