上司は優しい幼なじみ
「私てっきり…向こうで山本さんとヨリを戻して永住するのかと…」

「…は?」

顔を上げると、たっくんは理解できないといったような表情を浮かべていた。
目を逸らし、行き場のなくなった目線を彼の足元に落とした。

「何でそうなるの?俺、陽菜に待っててくれって言ったよね?」

「うん、聞いた」

「で、戻ったら結婚しようって言ったよね?」

「うん、聞いた」

「陽菜の家族にも宣言したよね?」

「うん、してた」

…あれ?私は被害妄想を膨らましていただけ?
いや、でも待って。もう一つ謎が残っている。
それは…

「たっくん、向こうでの生活はどうしてたの?ご飯は?」

ぐっと彼に詰め寄り、その距離を縮める。
見下ろすその目は、揺らぎもせずしっかり私を映していた。

「部屋は会社が用意したマンションに住んでいたよ。半分補助が出るような形で。食事はまぁ適当に済ませることもあったけど…あっちだとジャンキーなものが多くて、日本食が恋しくなって自炊もしていたさ」

「…そうなの?」

「それが、どうかした?」

「山本さんが手料理振舞ったりとかは?」

そういうと、たっくんは声を出して笑った。
その様子に、自分の発言を思い返してみるも、笑われるようなワードが思いつかない。
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