年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 お母様が丁寧に腰を折り、馬車に向かう。私もすかさず淑女の礼を取り、お母様の後に続く。
「……あ、そうだわ! ねぇリリア様、よかったらこれをお持ちになって?」
 するとスコット子爵夫人が思い出したように、玄関先に置いてあったバスケットを取り上げて、私に向かって差し出した。
「実を言うと、お茶会でお出ししたマフィンだけ私の手作りだったの。けれどパティシエの繊細な菓子が多く並ぶ中で、一番形が崩れたこれが私の手製だとは、なかなか言い出せないでいたのよ。お茶の時、リリア様が美味しそうに食べてくれて、本当に嬉しかったわ」
 私が答えるより先に、優しい笑みを浮かべたスコット子爵夫人が、私の手に少し強引にバスケットを握らせた。
 ズッシリと重たいバスケットに目を丸くする私に、スコット子爵夫人は笑みを深くした。
 想定外のこの状況に際し、私は取るべき行動に迷った。ここで対応を間違えたら、また数日食事を抜かれてしまう。
「まぁまぁ、スコット子爵夫人、どうか気を遣わないで?」
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