年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 庭園を抜けて西門が近くなると、表からざわざわとした気配が伝わってきた。内容までは分からないが、言い合うような声が聞こえてくる。
 ……なんだろう? 私と夫人は、門の付近から聞こえてくる喧騒に顔を見合わせた。
「ここでお待ちになって」
 夫人はスッと表情を引き締めて言い置くと、先に一歩を踏み出して門戸に手を掛ける。
「騒々しい、何事ですか?」
 夫人は門戸を開け放つと、外に向かって誰何する。
「奥様!」
 門の外に立っていた門番が、困惑した様子で夫人を見上げた。
 外には門番の他、門番に食って掛かる老齢の男と、それを遠巻きに見守る群衆の輪が出来ていた。私の迎えの馬車は、まだ来ていないようだった。
「あんた、ゴードン伯爵の奥方かい? ゴードン伯爵の帰宅はまだか?」
 門番を押しのけるようにして、男がズイッと前に身を乗り出した。身なりのいい男は、しかし上品とは程遠い不躾な態度で夫人に迫る。
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