年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 怪訝に思って目の前に翳せば、手が朱色に汚れていた。
 ……あ、これ血? 一拍の間を置いて、朱色の液体の正体に思い至った。
 ふと、地面へと目線を下げれば、足元に血の付いた木片が転がっているのに気付く。屈んで掴み上げたそれは、議会の投票券だった。
 私は投票券を握り締めると、男の前に進み出た。
「危険です!」
「おやめくださいませ!」
 ゴードン伯爵夫人や門番の男性が慌てて私を止めようとするが、構わずに男と対峙した。
「な、なんだお前は!?」
「エリオット子爵といいましたか。あなたは投票もせずに議会を放棄して帰ってきたのですか?」
「なにが悪い!? あんな胸糞の悪い議案など聞いていられるか! 陛下は復興大臣の唱える戯言を真に受けて、少しばかり目を曇らせているのだ。投票などせずとも、儂が貴族らから決議無効の署名を集め、陛下に直訴してくれる! そうすれば陛下も目を覚まされるに違いない」
 エリオット子爵は憤慨を隠そうとせず、居丈高に持論を展開した。
< 137 / 291 >

この作品をシェア

pagetop