年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 廊下の角を曲がり、ルーカスの気配が遠くなったところで呟いた。俺の小さな囁きは、聞くものなく夜の静寂に溶けた。




 リリアは持ち前の優秀さをいかんなく発揮し、婚姻式まで一ヵ月の期間を残して、お妃教育のほとんどを消化させていた。
 既に婚姻式の招待客リストも出揃い、連日、王宮一体となって入念な準備が進められている。全てが順調に思えた。
 そんなある日、ルーカスが俺の政務室を訪れた。
「少しいいか?」
 将軍職に従事するルーカスは、日中の日が高い時刻は、自ら部下の指導育成にあたっている。
 そのルーカスが、昼を過ぎたばかりの時刻に俺を訪ねてくるというのは、非常に珍しい事だった。
 これが意味するところは、ルーカスが俺やリリアに密接に関わる何某かの情報を入手し、それを伝えるためにやってきたという事だ。
「……諜報員が何か仕入れてきたか?」
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