年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「それがどうやら、両親亡き後に当主を継いだ弟から、縁を切られていたらしい。母君はこれまでも駆け落ちやなんやで弟と確執が深かった。代がわりで、それが決定的になったようだな」
「実家から縁を切られ、夫の死後の生活に備えて犯罪を決意したか……」
 俺は正直、これをどうリリアに伝えるのが正解か、考えあぐねた。いや、もしかすれば、俺の判断で手を回し、彼女には伝えない選択肢もありうる。
 彼女にとって、お世辞にも優しい母ではなかった。その母の事で彼女が思い悩む姿は、俺自身、目にしたいものではなかった。
「ルーカス、この件はまだリリアには伏せて――」
 ――パサッ。
 背後から上がった物音に、ハッとして振り返る。そうして目にした瞬間、俺はまだ見ぬ神を恨んだ。
 ……あぁ、どうして。神の計らいは時に、あまりにも残酷だ。
 内庭に通じるガラス戸の横、はためくカーテンに隠れるようにして、摘み取った花々を腕に抱いてリリアが佇む。その足元には、野花が一本落ちていた。
「……リリア」
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