年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 俺は、ソファの端で小さく背中を丸める彼女に、そっと体を寄せた。腕を回し、細い背中を抱き締める。反対の手は、固く握られたままの彼女の拳に重ね、上から優しく包み込んだ。
「ルーカスが人員を厳選し、母君の捜索に向かわせる。じきに母君の所在も知れるだろう」
 リリアの不安を取り払えるよう、努めて柔和に語り掛けた。
「なにも心配はいらん。我が国とデルデ公国は、いまだ国交回復の条約締結には至っていない。よって、かつての犯罪人引き渡し条約も、現行では効力を持たん。だから母君を発見した後の処遇に関しては、俺の方で母君の不利益にならぬよう取り計らう」
 俺が語ったのは、一国の王としてはあり得ぬ、不当な権力行使を前提にした言葉。けれど俺に躊躇はなかった。
 ただ一人、生涯の伴侶と定めた愛しいリリア。そのリリアの憂いを取り払う”力”を俺は持っている。ならばここで使わず、その”力”は一体いつ使うと言うのか……!
「……セラヴィンさん」
 リリアがゆっくりと顔を上げる。その顔には、苦渋が色濃く滲んでいた。
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