年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 瞼を開くと、私はゆっくりと綴り始めた。心の奥底に重く堆積していた、七歳の夏の記憶を――。

◇◇◇

 うららかな昼下がり。
「ごちそうさまでした! 私、ちょっと工房に行ってくるねー!」
 お母さんと昼食を食べ終えると早々に、私はピョンっと席を立った。
「リリア! お父さん達のお仕事の邪魔をしては駄目よ!」
 駆け出そうとする私の背中に、お母さんが声を張った。
「しないよ! お昼の休憩が終わったら、ちゃんと帰って来るよ!」
 私は振り返って答えると、今度こそ屋敷を飛び出した。
 向かうのは、屋敷から通りを一本挟んだ場所にあるお祖父ちゃんのガラス工房だ。
 工房では、お祖父ちゃんとお父さんがガラス窓やガラス戸といった大口のガラス製品の作製を請け負う。工房に併設している売店では、お祖母ちゃんが受注業務の傍ら、トンボ玉のアクセサリーを始め、細々としたガラス小物を販売していた。
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