年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「や、やだっ!? お父さん!!」
 私は必死にお父さんに縋った。
「……リリア、聞いてくれ」
 お父さんは取り乱す私に向かい、最後の力を振り絞るように告げる。その声はところどころ掠れ、とても聞きにくい。
 だけど私はお父さんの手を握り締め、一言一句聞き漏らさんと耳を傾ける。
「残念だけど僕は君の成長を見届ける事は難しいようだ。だけどおかげで、将来君を横から奪っていく夫君の顔は見ずに済みそうだ」
「……いやだよ、お父さん。そんな事、言わないでっ」
 呼気と共に喉から漏れる、ヒューヒューという音が、命の期限を否応なしに予感させる。
 命を削るみたいにして紡がれるお父さんの言葉は、これ以上聞いているのが辛かった。
「強く、そして優しい女性におなりよ。リリア、どうか幸せに」
「お父さん、分かった。だからもう……」
 固く手を握って訴えたけれど、お父さんは首を横に振り、更に言葉を続けようとした。
「……それからリリア、どうかマルグリットを、お母さんを助けてやってくれ」
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