年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 苦しさから目を見開けば、びっしりと文字が並んだ便箋が視界に飛び込んだ。
 そこで、ふと気付く。
 二枚目と三枚目の便箋に、ところどころ水滴が滲んでいた。不思議に思って、ペンを持つのと逆の手で、そっと頬に触れてみる。
 ……あ、涙。私は濡れた感触ではじめて、自分が泣いていた事を知る。どうやら私は、泣きながら文章をしたためていたらしい。
 私は涙が残る目元を乱暴に袖で拭いながら、卓上の懐紙を手に取って、便箋の滲む箇所にそっと押し当てた。
 懐紙を外して見れば、僅かに輪郭のぼやけた文字はあるが、よく見なければ分からない。
 ……これならば大丈夫そうだ。
 本来ならば新しく書き直すべきだけれど、もう一度同じ文面をしたためる事がどうしても難しかった。
 私は再び湧き出そうになる涙をグッと堪え、近況についてさらに少しだけ綴った。そうして手紙の最後を『私と母の未来のために何が最善か考えています。だけどいまだ、その答えは出ていません』こう結んだ。
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