年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 振り返れば案の定、後ろ手で扉を閉め、ツカツカと歩み寄ってくるルーカスの姿があった。いつになく険しいその表情を見れば、ルーカスが何かしら芳しくない情報を携えてやってきた事は瞭然だった。
「何か分かったか?」
 俺は内心で小さくため息を零しながら問いかけた。
「桃源楼に二週間前、新しい女が入った」
 ……桃源楼。半ば予想していた事とはいえ、聞かされた場所の名に、眉間に皺を寄せる。
「その女の外見的な特徴が、リリア嬢の母親に合致する。まぁ、十中八九リリア嬢の母親で間違いないだろう。女が身を潜めようと考えた時、娼館は打って付けだ。とはいえ格式の高い店になれば、働く女も相当に厳選する。そこいらの町娘では門前払いだが、伯爵家に生まれたリリア嬢の母親なら、骨の髄まで優美な振る舞いに馴染んでいる。門を叩けば、歓迎されただろう」
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