年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 格式のある娼館では、優美な所作を身に付けた女性が好まれる。没落貴族の子女や寡婦などはその最たるだ。高貴な身分の女性が生活に窮し、自ら娼館の門を叩く事は古い時代からままある事で、決して珍しい事ではなかった。
「ちなみに、桃源楼は本来、一見客はお断りだ。だがその女は巷で出会った男を恩人と称して部屋に上げ、それ以降、その男は連日のように通い詰めるようになったらしい」
 ルーカスが続けたのは、料理人の男の証言と一致する内容で、間違いようなどなかった。
 リリア殺害を企てたのは、リリアの母、マルグリットだ――。
「まさか母親が娼婦に身を窶してまで、我が子の命を奪う計画を実行しようとは……」
 リリアの事を思えば、やるせなさに胸が締め付けられた。
 自分を慕う男を捨て駒にする事を厭わない。なにより自分自身リスクを顧みず、罪を重ねる事を厭わない。
 そこまでして何故、かつて夫と共に慈しんで育んだリリアを厭う……?
 母親でありながら、何故――。
< 225 / 291 >

この作品をシェア

pagetop