年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「だからこそだ。俺は血などなくとも、彼らの人と成りを尊敬していたさ。むしろ血という繋がりが、幼い俺を憤りに苦しめた。俺の父さんなのにと、何度思ったかしれん。父は、我が子よりもお前を最優先に行動していたからな」
「……すまなかった」
 ルーカスはいつだってざっくばらんな物言いをして、豪胆な態度を崩さない。アントニオが俺に付きっきりになっていた幼い時分も、ルーカスはそんな様子をおくびにも出さなかった。
「なに、お前が謝る必要はない。なにより今となってはもう、過ぎた昔の話だ。それよりも、事は急いだ方がいいぜ。今のところ母親に動きはないが、実行犯の男からの情報がいつまでもなければ、計画の失敗を悟るだろう」
 ルーカスに言われずとも、差し迫った状況は十分に承知していた。
「現在、桃源楼の状況は?」
 明るみになれば、死罪は免れない。計画失敗を悟れば、自害すら十分にありえる。それくらいの覚悟を持ってマルグリットは今回の犯行に及んだのだ。
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