年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 御殿医の背中から、すでに見飽きた天井に目線を移し、小さく溜息を吐いた。
 少し喉がイガイガする程度で、自分ではもうすっかり元気なつもりでいるのだけれど、周囲がそれを許してくれない。
 だけどそれもそのはず、最高権力者のセラヴィンさんが頑として絶対安静のスタンスを崩さなければ、周囲は同調するしかない。
「……本当に、セラヴィンさんってば私に対して過保護すぎる」
「まぁ、ふふふ。だけどそれも、リリア様可愛さゆえね」
 独り言に返事があった事に驚いて見れば、扉の前でゴードン伯爵夫人が柔らかな笑みを浮かべて立っていた。
「ゴードン伯爵夫人!」
 ゴードン伯爵夫人は、私の腕に巻かれた包帯を見るや、表情を曇らせた。
「お怪我は痛む?」
 夫人は寝台に歩み寄ると、私の怪我に触れぬよう、そっと肩を抱き締めた。
 その目には、薄く涙の膜が浮かんでいた。
「いえ、ちっとも。怪我はほんの擦り傷程度で、私はもうすっかりいいんです。さっきも言ったように、セラヴィンさんたちが過保護すぎるんです」
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