年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「少し待っていて!」
 私は男性に言い置くと、空いた水袋と桶を手に小屋を飛び出した。大急ぎで小屋と屋敷の中ほどにある井戸に向かうと、脇目も振らずに井戸水を汲み上げて桶と水袋に注ぎ入れた。
 満タンになった水袋と桶を抱えて小屋に戻った時、男性は私が渡した水を飲んでいた。その様子にホッと安堵の息をつき、棚からガーゼとナイフを掴み上げて男性の元に向かう。
「シャツを切らせてもらうわ」
 一応、ひと声断りを入れた。
「……勝手にしろ」
 男性はその風貌とは不釣り合いな、仕立ての良いシャツを着ていた。とはいえ、そのシャツとてこの有様になってしまっては、今更仕立てもなにもあったものではないのだが。
 私は男性が水を飲み終わるのを待って、既に襤褸切れとなってぶら下がるだけのシャツの左袖を肩下で切り落とした。
 そうして傷に触らぬよう、男性の左腕をそっと取る。
「そ、それじゃ、いくわよ!? 水を掛けるわよ!? し、沁みたらごめんなさい!?」
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