年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「それが片や、一回りも二回りも年若い奥方をとっかえひっかえ、まったく羨ましい話で……っと、こりゃ失礼。今のはどうか、ここだけの話に。あ、そうそう! そういえば、我が領では――」
 カタカタという馬車の走行音を後ろに聞きながら、使者の声は意識の外へと切り離す。
 お母様を倣ったわけではないが、私は途中から使者に対し、返事や相槌の一切を放棄した。
 そうして見るともなしに外の景色に視線を向けていれば、ふと、車窓に私自身が映り込んでいる事に気付く。
 そこには、お母様の容貌によく似た、淑女の姿があった。
 スラリと細めではあるが、車窓に映る女性の頬はこけていない。肌艶もよく、結い上げられた髪も艶やかだった。
 十五歳になって、私を取り巻く状況は少し、変わっていた。
 事の本質はなにひとつ変わっていないのだが、お義父様が病に伏せった事で、スチュワード辺境伯家の実権をお義父様の弟が握るようになった。
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