年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 お義父様との間に子の無いお母様は、基本的に死後の資産を相続できない。お母様は、身ひとつでスチュワード辺境伯家を追い出される事を恐れ、病床に付きっきりでお義父様の看病にあたるようになった。同時にお母様は、結婚支度金をあてこみ、私の婿捜しにも奔走した。
 意図せぬ流れではあるが、これにより私は三度の食事と、身体の保証を得る事になったのだ。
 ……身体の保証、か。
 とはいえ、それが老侯爵に下げ渡す為の準備となれば、あまり喜ばしいとも思えなかったが。
「……だけど、私にはお似合いね」
 フッと自嘲気味な笑みがこぼれた。
 ……私に幸せは、似合わない。いや、事は似合う、似合わないのそれ以前。そもそも私には、幸せになる権利が無い。お父さんを死に追いやった私が、どうしてお母様を置き去りにして、一人幸せを掴めるというのか。
 だからそう、この使者が仕える老侯爵が、私の伴侶には似合いなのだ。なによりこれが、お母様のためにもなる……。
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