年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 私はお母様の背中が廊下の角に消えるとすぐに扉を閉じた。そうして扉に背を預け、ズルズルと床にしゃがみ込む。忙しなくドクンドクンと響く鼓動が、鼓膜で反響していた。
 お母様の逆鱗に触れた訳ではなかったと知り、安堵から目尻に涙が滲む。しかも今回、私はお母様の怒りを買わなかったばかりじゃない。幸運な事に、私はこの後クッキーの数枚、……ううん、うまくすればサンドイッチが食べられるかもしれない!
 私は空腹で痛む胃腑のあたりを撫でながら、湧き出る涙を堪えるように、ギュッと目を瞑った。
 だけど間違っても、浅ましく貪ってはいけない……。お母様の逆鱗に触れてしまえば、また数日、なにも口に出来なくなってしまう。
「今日のお茶会は、なんとしても完璧な令嬢でいよう……。お母様が自慢できる、娘でいよう」
 私は決意と共に、両手をギュッと握り締めた。



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