Your Princess
こんなに授業が長いと感じたのは初めてなのかもしれない。
15時を過ぎて。
ライト先生を見送った後。
庭のほうへと急ぐ。

ちょうどバラ園の前で、クリスさんと渚くんが立っていたので。
思わず大声で叫んだ。
「クリスさん、渚くん!」
クリスさんと渚くんの側に駆け寄る。
「あの、この前は急に悲鳴をあげてごめんなさい」
頭をさげる。
謝ることしか出来ない。
「何で、カレンが謝るの?」
渚くんが首を傾げる。
「そうだよ。カレンちゃんが謝る必要はないよ」
優しげにクリスさんが言った。

「あ、渚。例のモノ渡してやれよ」
クリスさんが渚くんの腕をつっつく。
「あ、カレン。これ、プレゼント」
渚くんのポシェットから出てきたのは、黄色い布切れだった。
「ビビが引きちぎっちゃったんでしょ? だから、サクラさんと考えて作ってもらったんだー」
満面の笑みを浮かべる渚くん。
受け取ると、それはフェイスベールだった。
「カレンっていつも全体的に黒っぽい格好してるでしょ? 黄色が絶対に似合うと思って!」
フェイスベールを広げると、ビーズで花模様が施されており。とても可愛い。
「ありがとう」
まさか、フェイスベールをプレゼントされるとは、思っていなかった。
< 24 / 94 >

この作品をシェア

pagetop