求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
◇◇◇
「才賀さん、道路混んでるみたいです。急いでください」
余裕のない高い声がフロアに響く。結衣はメールを打つ手を止めて、視線を画面から声の方に向けた。
沢山の荷物を抱えた梓が、遥人を急かしてフロアから出て行くところだった。
(相変らず忙しそう)
年末に向けて誰もが忙しい時期ではあるけれど、その中でも梓は特別に多忙に映る。
(だから仕方がないんだよね……)
結衣は一時間前、朝一番に届いたメールを開いた。
出社後すぐに見ているので二度目になるが、内容が分かっていても憂鬱な気持ちになる。
メールの送り主は梓で、一昨日遥人が危惧していた忘年会の幹事の件。どうしても時間が取れないので結衣に変わって欲しいとの依頼だった。
まだ了承の返信をしていないけれど、彼女の様子を見るともう終わったことになっているようだ。
自分の手から離れたと思っているのだろう。
幹事をやるのが嫌な訳じゃない。誰かがやる必要があるし、直前まで何も決まっていないのは落ち着かない気持ちになるので、自分が手配した方が結局気楽だ。
でも、申し訳なさや感謝の気持ちが一切見られない態度を目の当たりにすると、面白くない。
こんな風に不満に思うのは、器が小さいのだろうか。個人的な感情で梓に対し、厳しい目で見てしまっている?