求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「あーちょっと忘年会の件で」

「忘年会?」

遥人が怪訝そうに呟く。菅原は誤魔化すように笑って結衣に移動を促した。

「十五分くらいで戻りますんで」

さっさと行こうとでも言うように背中を押され、パーテイションの外側に出る。

遥人の物言いたげな視線が気にはなったものの、かける言葉が見つからないままその場を立ち去った。



パントリーの休憩用のテーブルに落ち着くと、菅原がコーヒーを淹れてくれた。

「どうぞ」

「ありがとう……才賀君、何か用があるみたいだったけど大丈夫?」

「俺の方は。才賀さんが気にしていたのは、水島さんのことじゃないですかね?」

「私? そんな風には見えなかったけど。才賀君は菅原君に話しかけてたじゃない」

結衣の方には、初めにちらりと視線を向けただけだ。

「多分俺たちが何を話してたか気になったんですよ。才賀さん、水島さんを気に入ってるから」

菅原の口調は何気ないものだったけれど、結衣は胸を突かれたような動揺を感じた。なんとか隠して返事をする。

「……それはないよ」

「いや、あるでしょ。才賀さんの態度結構あからさまだし。他の男を近づかせない為にあえてやってるんだと思ってましたけど」

「他の男って……あの、勘違いしてるみたいだけど私達そんな関係じゃないからね」

変なことを言うなと強目の口調で釘を刺す。しかし菅原は臆せずそれどころかにやりと笑った。
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