求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「隠さなくていいじゃないですか。俺たちの間では結構有名な話ですよ」
「建築士チームでってこと? そんな目で見られてないと思うけど」
その誤解は菅原限定に違いない。仲が良いとは思われていたけれど、特別な関係ではない。
その証拠に、遥人が休んでいる間、結衣に彼の様子を聞く者はいなかった。自分たちと同じ同僚と認識しているからだろう。
でもこれ以上、菅原に妙な発言をされるのはよくない。
「とにかく私達はただの同期だから。他の人に今みたいな話はしないようにお願いします」
遥人との関係はただでさえ複雑なのだ。周りで変な認識を持たれたら困る。
ようやく結衣の本気を察したのか、菅原が戸惑いをみせた。
「え、本当にそうなんですか? あ……そう言えば、才賀さん最近は水島さんを名前で呼ばなくなりましたよね」
「うん。だから誤解しないでね」
「はい……すみません、調子に乗ったこといって」
菅原はしゅんと落ち込んだように頭を下げる。その様子が打ちひしがれた子犬のようだ。
「分かってくれたら謝らないでいいから。それより早く打合せしよう」
結衣はノートパソコンの画面に、先ほどのホームページを表示させる。
菅原はきりっと真面目な顔をしながら、独り言のように呟く。
「はい。でも……水島さん才賀さんとは何でもないんだ」
「え?」
「いや、なんでもないです。少しやる気が出ました」
「そうなんだ」
よく分からなかったが、追及せずに今後の打合せをはじめた。
考えることは沢山ある。早く段取りを済ませすっきりしたい。
結衣も無理やりやる気を出し、菅原との打ち合わせに集中した