求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
駅に着き刺激的だった満員電車から解放されると、遥人は迷いのない足取りで改札へ向かった。

改札を出ると遥人は人通りが多い方向に足を向ける。

「東口の方にあるんだ」

「そうなんだ。どんなお店なの?」

「グランデって言うイタリアンの店」

「えっ」

「行ったことがある?」

遥人の問いに、結衣は小さく頷いた。

まさに先ほど思い出していた、遥人と食事をした店の名前だったからだ。

(まさかあの店だったなんて……驚いた)

冷静に考えてみれば充分あり得る話だ。あのとき店を指定したのは彼だった。元々知っている店だから選んだのだろう。


「一度だけ行ったことがあるの。才賀君の知り合いのお店だったんだね」

「ああ。従兄の店なんだ」

「従兄……そうなんだ」

あの日も店内に居たのだろうか。遥人がスタッフと私的な会話をしていた覚えはないけれど。
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