求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「どうかした?」
「ううん。あの、かなり高級なお店だった気がするんだけど、予算は大丈夫かな?」
遥人が支払ってくれたので具体的な金額は覚えていないけれど、出て来た料理はかなり良いものだった。
「予算に合わせてメニューを考えて貰うから大丈夫。」
「それなら安心だね」
駅から近い為、話しているとあっと言う間に店に着いた。
遥人が事前に連絡をしていたようで、入口でスタッフに出迎えられ、そのまま個室に案内された。
(この部屋は……)
偶然にも以前と同じ部屋。それとも遥人が利用するときはここと決まっているのだろうか。
立ち尽くしていると、個室の入り口でスタッフと話していた遥人が近づいて来た。
「ごめん。少し遅れるから、先に食事をしていて欲しいそうだ」
「あ、分かった」
遥人に促され席に座る。向かい合わせで視線が合うと、どうしても以前来たときの思い出が蘇る。
あの日の遥人は結衣に優し気に微笑んでくれた。何気ない会話にも親しみが溢れていた。そして、結衣を好きだと言ってくれた。
『結衣は特別』
『結衣が好きだよ。気の合う同期としてではなく、ひとりの女性として』
胸がときめいて幸せを感じた。そっと抱きしめられると安心して……彼の特別になれた喜びを噛み締めたものだった。