求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
壮太が個室を出てしばらくすると、スタッフがワインを運んで来た。
綺麗な赤のワイン。結衣は銘柄にも香りにも詳しくないものの、呑めば素直に美味しいと感じる。
ワインはさらりと飲みやすく、結衣の好きな味だった。
けれど正面の席の遥人は未だに手を付けない。
(……まだ気にしてるのかな)
声をかけるのを躊躇っていると、遥人が先に口を開いた。
「さっき、壮太が言っていたことだけど」
来た。と結衣の心臓がドクンと音を立てる。
「壮太さんが変な勘違いしていたから驚いたよね」
動揺を隠して答え、気まずさを誤魔化す為にワインを煽る。
遥人が気になる気持ちは分るけど、蒸し返さないで欲しかった。
彼は以前にも真実を知りたいと言っていたし、それに応えたい気持ちはある。
ただ、今の結衣にとっては本当に話すのが辛くて、もう触れないで欲しい過去なのだ。
しかし、遥人は結衣の言葉をまるで信用していなかった。
「俺は勘違いじゃないと思ってる」
「え?」
思わず俯きがちだった視線を上げると、結衣を真っすぐ見ていた遥人と視線が重なった。
結衣の誤魔化しなど全て見透かしそうな強い眼差しに、息を呑む。