求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
遥人の言葉は結衣にとって、思いもしないものだった。

(私に惹かれてるって……本当に?)

これは願望が見せる夢じゃないのだろうか。

(また私を好きになってくれたの?)

ドクンドクンと心臓の音が聞こえてきそうだ。血が巡るように体中に緊張が伝わっていく。

信じられない。だけど本当だったらどれ程嬉しいか。

「俺は記憶を取り戻すことにそれ程執着していなかったんだ。それに時間を割くより、今が大切だし他にするべきことがあると思っていた。でも……水島さんと過ごした時間は思い出したい」

「……私との時間を思い出したいと言ってくれて嬉しい……でも、正直まさかって思ってる。だってあの事故の後、才賀君と私は以前みたいに話さなくなったのに」

記憶が戻った訳でもない彼が、また結衣を好きになるなんて、あるのだろうか。

以前と違い、仕事中の彼はいつも梓と行動していて、結衣と一緒に過ごす時間も短かったのだから。

「関わった時間は少なくても、水島さんが俺を気遣ってくれているのが伝わって来た。心強かったよ。周りには気付かれないようにしていたけど、正直言って不安もあったんだ」

「本当に?……良かった」

彼の気持ちを少しでも癒せていたのなら。

いつも堂々としていた遥人だけど、悩みを持っているのは察していたから。

そして……彼の気持ちが自分に向いているのが、堪らなく嬉しい。

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