求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「え、どうして?」
「もうどうでもいい相手だと見切りを付けられたように感じるから。今更だと思われるだろうけど、俺は水島さんが好きだから」
結衣は小さく息を呑んだ。それまでのやり取りで気付いていたとはいえ、言葉ではっきりと告げられると動揺する。
だけど、どんなに揺らいでも気持ちだけは何も変わっていない。
「私も才賀君が好きだよ。諦めると決めていたけど、見切りを付けるなんて思ったことはなかった。ただ……何も覚えてない才賀君に気持ちを知られたくなかったの」
遥人の瞳に切なさが浮かぶ。
「水島さん。俺ともう一度やり直してくれないか?」
「私の気持ちはあのときのまま。才賀君が今も好きだよ」
今までずっと隠して来た想いを口にすると涙がこみ上げそうになった。
ずっと事故が起きる前に戻りたいと願っていた。それが本当に叶うなんて。
「ありがとう……」
遥人は少し震えたような声で言う。その様子から彼も緊張していたのだと気が付いた。
結衣に全く余裕がないように、遥人も精一杯だったのかもしれない。
(それなのに、一歩踏み出してくれたんだ)
心を伝えるのは勇気がいる。それでも彼は恐れずに伝えてくれた。
「才賀君が伝えてくれてよかった」
結衣からは決して言い出せなかった。離れた距離のまま、きっと元には戻れなかった。
彼の優しい眼差しを受ける幸せが、また訪れるなんて……。
幸福を噛み締めながら、遥人と微笑み合った。