求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「才賀君、ありがとう」
振り返り笑顔で告げると、遥人もほっとしたように微笑む。
「痛みが引いて来たみたいで良かった。結衣の悲鳴が聞こえたときは本当に焦った」
「え、そうなの? 才賀君、すごく落ち着いてたけど」
「そう見えた? 内心はかなり慌ててたんだけど。結衣の手が……」
遥人が結衣の赤くなった手を痛ましげに見たそのとき、パントリーの入口から「あの」と遠慮がちな声が割り込んで来た。
はっとして声の方を向けば、まどかが居て、その後ろに頼り無さそうに佇む菅原の姿があった。
「大丈夫? やけどしたって聞いたけど」
「あ、うん。冷やしてるから平気だよ」
まどかと菅原にずっと見られていたのだろうか。
聞かれたらまずいプライベートな会話はしていないはずだが、ふたりの様子がどこか気まずそうで、ソワソワと落ち着かない気持ちになる。
「よかった」
まどかはそう呟いたあと、遥人を見た。
「才賀さん、受付からお客様を第三応接室に案内したと連絡がありました。結衣は私が見てるので対応をお願いします」
「来客?」
予定外の来客なのか、遥人が怪訝そうにする。
「資材メーカーの営業みたいです。白川課長が才賀さんに任せるようにと」
「……分かった。今行きます」
遥人の顔に気が進まないと書いて有った。けれど彼は結衣の手を放し、小声で言う。