求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「あと五分くらい冷やしてから、薬を塗っておいて。軽く見ないでしっかり手当するんだ」
「うん」
結衣が頷くのを見届けると、遥人はパントリーを出て行く。
入れ替わりにまどかと菅原がやって来た。
「私、薬を用意しておくね」
まどかは結衣の指先を確認すると、足早に去って行く。
残った菅原が大きな体を縮めて言う。
「水島さん、本当にすみません。俺のせいで……」
「わざとじゃないって分かってるし、もう気にしないで」
彼に悪気がないのは明らかだ。躓いてしまうことは誰にだってあるから怒ってなんていない。
今後注意するようにとは、あえて言わなかった。彼は大人なのだから、いちいち言われなくても自分で行動を改めるだろう。
「でも、水島さんの白くて細くて綺麗な指が俺のせいで赤くなって」
「いや大袈裟だよ。そんな大層なものじゃないから」
「いや、大層なものです。そうだ。俺、才賀さんの代わりに支えてますよ」
「え? いえ、本当に大丈夫だから! それより今日中に忘年会のお知らせを掲示板に上げたいから、ある程度まとめて貰えたら助かる」
菅原に支えられるのは遠慮したい。
(才賀君じゃないと無理……)
遥人が触れた場所の感覚がまだ残っている。
すごく頼りになって、優しくて……心配してくれて嬉しかった。