求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「きゃあっ!」
突然のことに驚いていると、かなりのスピードを出した車が結衣たちの直ぐ隣を通り過ぎていく。
住宅街のそれ程大きくない道で歩道と分ける為の柵もないため、ぶつかってしまうかもしれないという恐怖を覚えた。
車が通り去ったあとも、バクバクと心臓が鳴っている。
「大丈夫か?」
遥人が心配そうに声をかけて来る。おそらく咄嗟に守ろうとしてくれたのだろう。結衣の体は彼の腕にすっぽりと包まれている。
「う、うん……でも驚いた……怖かったね」
「ああ。クリスマスで浮かれていたのかもしれないが、酷かったな」
遥人は剣呑な表情で車が走り去っていった方向を見つめている。
その横顔はどこかぼんやりとして見えた。結衣のように悲鳴は上げなかったが、彼も恐怖を覚えたのだろうか。
「才賀君は大丈夫?」
なんとなく不安になり呼びかけると、遥人ははっとしたように結衣に目を向けた。
「あ、ああ……大丈夫……行こうか」
気を取り直してマンションに向かう。
部屋につくまでふたりとも何も話さなかった。