求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
初めて知る事実に混乱していた様子の遥人が、我に返ったようにら結衣のもとへ駆けつける。

嗚咽で震える結衣の肩に触れ、顔を寄せて必死に声をかけて来た。

「結衣、今の話は……」

遥人にとっては青天の霹靂だったのだろう。かなり動揺しているのが伝わって来る。

「傷つけてごめん。本当に無神経なことを言った」

必死な彼の声に、結衣は突っ伏したまま首を横に振った。

遥人に悪気がないのは分かっているのだ。

ただ今まで耐えて来たものが一気にあふれ出てしまっただけ。

「そのままでいいから話を聞いてくれるか?」

遥人の懇願するような言葉に頷く。

「あの事故の日について、俺はずっと疑問を持っていたんだ。ただ誰に聞いてもそれは解決しなかった。俺が記憶を取り戻す以外に疑問を解消する方法が無かったんだ。」

疑問とは何だろう。そう思うけれどまだ上手く声が出せない。そんな結衣の気持ちを察しているように遥人が言葉を続ける。

「俺は車に旅行用の荷物を積んでいたんだ。初めは北桜さんと旅行に行く予定だったのかと思っていた。でも彼女の口からそんな話は一度も出なかった。結婚式について打合せをする予定だったとは言うのに、旅行については不自然な程触れて来ない。強い違和感を持ったが俺もあえてその件については黙っていた」

遥人の言葉を聞いていた結衣は、戸惑いながら顔を上げた。

すぐ側に置いてあったバッグからハンドタオルを取り出して、おそらくぐちゃぐちゃになっているであろう顔をそっと拭く。
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