求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「何も来てないな。来るってことか」
嬉しそうにする高野に亜実が苦笑いする。
「高野って本当に才賀君が好きだよね」
「いや好きって言うかさ、まあ好きだけど、今日は聞きたいことがあるんだよ」
「何をよ」
「怪我とか大丈夫なのか気になってさ。あいつ事故に遭ってから連絡取り辛くてラインしても返事が滅多に来ないんだよな」
亜実が「ああ」と納得したように頷く。
「確かに心配だよね。仕事に復帰してからもあまり他部署に顔出さないみたいだしまだ本調子じゃないのかも……結衣、才賀君どうなの?」
知っていて当然とばかりに亜実が結衣に話を振る。
「怪我は大分良くなったみたいだけど、ブランクを取り戻すのにかなり忙しいみたい」
同期の仲間は遥人の記憶の件を知らない。だから結衣との間に出来た距離感をおかしく感じるかもしれない。
もし突っ込まれたら結衣がなんとか誤魔化さなくては。そう決意している内に次々に同期たちが到着する。
「お疲れー」
皆適当に空いている席に座って行く。ただ高野の隣は指定席のように空いたままにしている。
それからしばらくしてから遥人がひとりで到着した。
(良かった。ちゃんと来てくれた)
ほっとしたのと同時に嬉しくて胸が高鳴る。
この飲み会で遥人との関係の変化を望んでいる訳じゃない。ただゆっくり話せたら……それが無理でも楽しそうにしている彼の姿を見るだけでもいい。
「あ、遥人―こっち、こっち!」
結衣と同様に目ざとく遥人に気付いた高野が大きな声を上げて遥人を呼んだ。