【完】淡い雪 キミと僕と
0.美麗『始まり―3か月前―』
0.美麗『始まり―3か月前―』




始めにいっておこう。


わたしには世界で1番苦手な男がいる。

その男と言うのは、名は西城大輝(サイジョウダイキ)

4代続くホテルリゾート、西城グループの社長令息で性格は極悪非道。冷徹。不愛想。…少し天然で

容姿は高身長。けれどギリギリ180センチに届かなかった身長がきっと悔しい。

本人は奥二重と言い張るが一重の鋭い瞳。鼻が高く、唇は薄い。…笑うと、意地悪そうに見えて、少しだけ甘くて

口を開きゃ悪口しか言わないし、わたしに意地悪をするのを生業としているような人間で、悪魔のような人物。


大切な事なので、もう一度言っておく。

いや、一度と言わず何度だって言ってやる。
わたしは、この男が世界で1番苦手だ。



そして、わたし山岡美麗(ヤマオカミレイ)は某大手お菓子メーカーに勤める受付嬢。

容姿はまあまあ。これでも学生時代は学校のマドンナなど呼ばれ、チヤホヤされて生きてきた。

しかしそれは所詮学校内の小さな箱の中での話。社会に出ればわたし程度の人間はゴロゴロ転がっていた。

性格は、悪い。自分で言うのもなんだけど、悪い。
男の事はステータスとお金でしか見ない、所謂港区女子と言う奴だ。



そしてまた西城大輝も、こんなわたしを世界で1番嫌っている。



そんなわたし達を繋ぐものなんて、元々は何ひとつ無かったんだ。

けれど時として神様は奇妙な悪戯をしたがるもんで

どうしようもない出会いをして、お互いに嫌い合って、それでもまた再び繋がり
そして何故か今も一緒にいる。

心から心外だ。

神様というものがいるとしたら、殴り込みにいき、彼の持っているであろう魔法を奪い取る。

そして

ひとつだけ願いが叶うのならば、彼と出会わない世界線をわたしは生きて行きたいと切に思う。


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