魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜
「ところで、君はどうしてレストランの再建に手を貸しているんだい?何かこだわる理由でも?」
「えっと、はじめは私もお客のひとりだったんですが、少々国の役人と揉めてしまいまして」
これまでの経緯を話すと、ヴァルトさんは楽しそうに腹を抱えた。
立ち退き撤回への強い思いを理解してくれたようで軽やかに口を開く。
「ミレーナちゃんは思ったよりもたくましい子なんだね。それにしても、魔王様が人間界でレストラン経営をしていたとは驚きだよ」
魔王ルキの不在は、視察に出ているとだけ公表されていたらしい。
城下町では、“見合いや婚約の話を蹴ってばかりいた王は公表できない身分の美女を連れて人間界に行った”なんて噂も囁かれていたようだ。
実際ルキが連れ立ったのは、美女ではなく飼い猫のケットだというのが微笑ましく思える。
「ヴァルトさん。少し込み入ったことを聞いても良いですか?」
「うん、いいよ。何かな?」
「その…ヴァルトさんは、どうしてシェフを辞めてしまったんです?」