青春ヒロイズム
興奮気味に話す私を、ナルが冷めた目で見つめた。
「だからさ、友。その噂が本当だって証拠はどこかにあるの?あんたは実際に、私たちがその子に嫌がらせしてるとこでも見たの?録画とか録音とか、そういうので証拠でも押さえてるわけ?」
それを言われたら、何も答えられなかった。
黙り込んでしまった私を見て、ナルが嘲笑する。
「昔からずーっと思ってたんだけど。何でも自分だけが全部正しいみたいに人のこと責めてくる、あんたのそういうところ、ほんとウザい」
ナルの言葉をもっと冷静に受け止めていたら、違った未来が待っていたのかもしれない。
でもナルの言葉に、私は一瞬理性を失って、カーッと頭に血を昇らせてしまった。
自分がしていることのほうが正しいと、そんなふうに思ってしまった。
「森ちゃんに謝って」
つぶやく私の声を無視して、ナルが笑いながら通り過ぎていく。
「謝って、って言ってるの!」