青春ヒロイズム
「村田さん、飲み物、何が好きかな?」
「え、いいよー。気にしないで」
もう一度訊ねたら、村田さんがにこにこしながら首を横に振った。
「私が買いに行くついでだから。何が好き?」
編入してきてからは、一度断られたらしつこく訊いたりしないようにしていたのに。
今日の私は変だった。
「じゃぁ、イチゴミルクがいいな」
しつこい私の態度に諦めたのか、村田さんが遠慮がちにリクエストする。
「わかった」
そう答えると、私は財布を持って食堂の横の自動販売機まで全力で走った。