本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
支配人に案内され連れてこられたこの場所だけれども、頭の中に疑問が沢山並んだ。

「遠慮なく、入れ」

「こ、ここは……?」

ホテルの地下に位置する、この場所は何?

隠し部屋?休憩所?

8畳位の部屋にベッドとテレビ、小さなキッチンに小さな冷蔵庫、奥にシャワーもあるのかな?

「帰れない日は、ここに寝泊まりしてる。設計図の段階で出たデッドスペースに作って貰った支配人専用の部屋だ。ナイトフロントの仮眠室などはまた別の場所にある。誰も近付けない場所にあるのは、支配人の特権だな…」

「…はぁ」

呆気に取られて、相槌を打つ。

支配人専用の休憩室に呼ばれて、私はどこで休んだら良いのかも分からず、ただ立ち尽くす。

「…死角にあるから誰も近寄らないし、連れ込み放題だけどな!」

「………!?」

「うそ、嘘。とりあえず、座れ。飲み物ぐらいは出してやる」

目を丸くしたまま驚く私を見ながら、クスクスと笑う。

か、からかわれた!

からかわれたと思った瞬間に恥ずかしい気持ちがこみ上げて、顔が赤くなる。とりあえず、ちょこんとテーブルの脇に座らせて貰った。

座ると頭の上にコツンとした物が触れ、硬い感触を感じた。支配人がペットボトルのお茶で私の頭を軽く叩き、頭上から私の膝の上にパラパラと小さなチョコレートの包みがいくつか落ちて来た。

「頑張ったから御褒美。特別だからな」

「有難うございます…。このチョコ、大好きです、嬉しいっ!」

私の大好きなストロベリーチョコレートにミルクチョコレートがコーディングしてある、生チョコの様な食感のチョコレート。

「そうか…」と小さく呟き、ゴロンとベッドに横になる支配人。

「30分たったら、必ず起こせ。起きなかったら叩いてでも起こせよ。分かったな?」

「は、はいぃっ…」

< 8 / 240 >

この作品をシェア

pagetop