慈愛のケモノ
「結婚したいとかもないの?」
「恋人いないのに結婚できないでしょ」
「なんかほら、いくつまでに結婚して子供がほしいとか、思ったことない?」
「特にないかなあ、一人でいるの好きだし。どうしたの、急に」
「恋愛の、あたしの話ばっかりじゃない? 琉花の話聞きたくてさ」
横断歩道を渡ると、カフェが見える。私たちがいつも昼食をとる場所。
真面目に考えたこともないので、恋愛は真希の話を聞く方が楽しい。ただそれだけだった。
「もっと、具体的に、琉花の好きなタイプ教えて欲しいんだけど」
「え、だから好きに……」
この前言った話を再度口にしようとした。