慈愛のケモノ
良い時間でお店を出た。真希と水本さんが次どこの店に行くか話している。
「私は、ここで帰ります。お誘いいただき、ありがとうございました」
頭を下げる。未だお酒が身体を巡っていて、眠気がひどい。一杯でやめておけば良かった。
「琉花、一緒に帰る?」
いつも真希のお酒に付き合うときはちゃんとしているのに、今日に限って真希に心配される始末。いやでも、水本さんと飲みたいに決まってる。
「俺が送ってくよ」
助け舟を出してくれたのは、遠月さんだった。
助け、舟。
私を助ける舟を?
それを断る暇もなく、二人と別れた。